スポーツ領域における競技側と団体運営側の二重構造

スポーツの領域では、競技者と団体の対立する傾向にあります。これは重要視しているもの、シグナリングで説明がつきます。

競技者の視点

競技の場合には、「勝てば官軍」という言葉通りに、強いほうが発言力が強くなる傾向にあります。要するに競技者の世界では、競技において強いものが、上位に来るヒエラルキーがあります。

選手の間で重要な情報は「日本ランク何位」や「世界大会で何位」です。

競技の事ばかりに取り組んでいる競技者・選手は、このヒエラルキーが他の分野でも有効だと、無意識に考える傾向があります。

運営側の視点

一方競技団体の運営側の視点では、競技の能力というよりも、永続的な運営や業界の発展が重要となります。

その宣伝の一環として一部の選手をアイコン化することが、メディアとの兼ね合いやマーケティングの都合上、有効に働くため、何人かをそのようなアイコン化する戦略を取ります。

大規模な団体であれは、おおむね上記のような状況であると考えられます。

一方小規模な団体の場合はどうでしょうか?人手不足と収益化が難しい状況から、多くの場合は運営者も競技者出身で兼業あることが多いです。その場合、前者の競技者のヒエラルキー感覚を運営においても引きづっていることが非常に多いです。

しかし実際には、スポーツの発展には、運営の部分が非常に重要ですが、競技者とは大きく異なるスキルが必要です。ざっくり分けると、競技者の場合には、体格や足の速さなど肉体的なものが多くある一方で、運営の部分は頭を使うものが多いです。次の記事に必要なスキル一覧をまとめました。

スポーツの競技協会や団体運営に必要な人材像とスキル一覧

要するに、競技者と運営では、お互いに価値がある、と感じている事柄に大きな乖離が存在し、別のヒエラルキーを形成しています。そしてそれぞれに必要なスキルセットも大部分が異なります。これらの事情から、よく見る次のような発言が出てきます。

選手側「協会は、選手のことも、競技のことも何もわかってない。どんだけ苦労してると思ってるんだ!」

運営側「選手側は自分たちが試合で勝つことしか考えてない。どれだけ運営が大変だと思っているんだ!」

これらをうまく統率するには、別のヒエラルキーの双方でそれぞれ秀でることが重要です。特に人員が被りがちな小さい団体では、猶更です。

この団体運営の能力に秀でる人は、一般の企業でいう、いわゆる「仕事の出来る人」と相関が高い傾向にあります。このため協会運営に必要な「金銭的余裕・精神的余裕」等も満たしやすくなります。競技者や選手としても、上記のスキル一覧から満たせるものを増やしておけばおくほど、引退後に協会への運営に関わりたい場合に加え、さらにセカンドキャリアやデュアルキャリアに繋げやすくなります。徐々に変えられることから変えていくことが、発展への近道でしょう。