スポーツの競技協会や団体運営に必要な人材像とスキル一覧

スポーツ競技団体の運営や理事に求められる人材像とスキル

競技団体などのスポーツ団体の運営には、様々なスキルが必要となりますが、スポーツの種目によらず、根本的に必要なスキルは似通っています。

なお、規模の大きい団体では潤沢な資金を使っての引き抜きや、分業が出来ますが、特に規模が小さい団体では、厳しい資金面も考えると自前でできることが望ましいです。必要であると考えられる人材像とスキル一覧を紹介します。

1. 人材像

1.1. 高い倫理観

スポーツ自体には、著作権も認められなければ、商標権も認められません。株式会社の下部に相当するものも存在しにくいために、既得権益に相当するものを得ることが難しくなります。さらに収益率も高いとは言えない業界になります。さらに独裁制になってしまうと、立ちいかなくなります。そのような状況下で公平な判断が求められます。組織構造で対応するにも限界があるので最低限の倫理観が必要となります。

これは全員必須といっても過言ではないでしょう。

1.2. 精神的・時間的・金銭的余裕

すでに書いているように他の収益性が高い分野と比較して、スポーツのエリアは全体的に金銭的に厳しい状況にあります。多くの団体では、実質無償であることもあります。よって精神的な余裕に加えて、金銭的な余裕もほぼ前提として必要になります。自分が苦しければどうにもなりません。低次元な欲求は余裕をもって満たされている必要があります。さらに活動にはある程度の時間もかかります。

2. スキル

上記のような人材でかつ、効率的な運営には、いくつか必須スキルが存在します。

2.1. コミュニケーション能力・執筆

運営にあたって、外部と交渉したり、統率を取る必要があります。これには、交渉力や議論する能力や執筆する能力など、広い意味でのコミュニケーション能力が必要となります。

なお日本的な「輪を乱さず空気を読める力」は重要ですが、それ以上ここでのコミュニケーション能力は、交渉や議論する力や、執筆する力を指します。これも広報を自ら行う必要が出てきます。具体的には、ニュース記事や、大手寄稿型ネットメディアに、編集者なしで掲載しても問題がないレベルの執筆力は必要になってきます。

また内部資料の作成などを適切に執筆し、作成するドキュメント作成能力も求められます。作成者本人がいなくてもドキュメントを読めばわかるレベルの作成能力を有する必要があります。

2.2. ITスキル

紙とペンで会員管理をする時代は終わりました。少ない人材内できる限り自動化し、効率化をする必要があります。しかし、ただでさえ資金がない中ではシステムを外注することは厳しいです。そこで団体内部で、システムを自ら構築し、自動化をしていくほうが費用も抑えられ、用途に応じてにカスタマイズができます。そのためのITスキルが必要となります。大きく分けて2つ内部の情報管理と外部からの対応になります。

2.2.1 外部からの情報管理

外部からの連絡は、人づてのこともありますが、インターネット社会の現在では主にウェブサイトです。ウェブサイトの構築も、外注している余裕などありません。自分で構築すれば、その分費用は抑えられます。ここで必要なプログラミング言語は、

php

html

css

がある程度わかれば、自力で構築できます。同時にデータベースやドメイン、サーバーの知識も多少は必要になります。

2.2.2 内部の情報管理

内部の情報管理としても、自分でシステムを構築すれば、費用は掛かりません。業務自動化 Robotics Process Automation(RPA)が進む昨今で、なるべく自動化を試みましょう。大規模なシステムではない場合を想定すると、Google DriveやApp Script, UiPathなどを利用することで、効率化が出来ます。これらには、習得がしやすく効率が良いプログラミング言語として、

JavaScript

Python

などがあります。

2.3. 法務・税務・監査

法人である以上、法律面や金銭面でのチェックが必要となります。こちらも外注すると厳しいですが、運営者のメンバーの一部が弁護士や会計士、監査人である場合には、外注の必要はなくなります。

なお法人格を持っていなくても、同様の団体の中立性・健全性を保つ必要があります。それにはこれらの知識や見識は有効となります。

2.4. マネジメント能力

協会運営は、一人ではできません。適切なマネジメント能力が必要です。また直接雇用方式ではなく、善意に基づいて参画している状況が多いために、命令がしづらい環境があるので、一般的な株式会社でのマネジメント能力よりも、高い能力が必要になる可能性が高いです。

3.あると良いスキル

必須ではありませんが、一定の条件下ではあったほうが有効であるものです。

3.1 英語力

団体が日本国内で閉じている場合には必要ないものの、多くのスポーツの場合、世界大会などを通して国際的な交流が必要となります。特に国際連盟(IF)に加盟している国内協会(NF)は、国際連盟の総会などに出席し、他国の代表と議論や交渉する必要が出てきます。

「どれ位できればいいか?」というと、理想は「日本語・英語のどちらで話しているかが自分で気付かないくらい」ですが、「立食パーティで初対面の外国人と対等に、笑いを取りながら話せるくらい」がいい基準となるでしょう。

実践的な能力と少し乖離があるため、客観的な判断が難しいですが、あえて数字としての基準が欲しい場合には

TOEFL iBT 100
IELTS 7.0

TOEICは、残念ながら参考になりませんが、何も対策をせず900以上くらいでしょうか。

ポケトークなどが発展してきているとはいえ、世界では「意思決定層は英語くらいは出来る」というのは半ば常識であるため、一国のスポーツ団体の幹部が英語もできないと、舐められかねません。契約の際には(資金に余裕があれば)通訳をつけるのは通常です。

なお、国際的な政治の第一言語がフランス語であることを踏まえると、フランス語が必要となる可能性もあるが、少なくとも英語だけできれば十分であるという認識をしています。

3.2 豊富な人脈

世界大会や運営にも通じるところですが、豊富なネットワークがあれば出来ることが増えます。例えば、理事の友人が大会開催国の外交官であれば、情報のやり取りもスムーズにいくでしょう。変わったスポーツでも、将来性を感じて参画してくれる有力な方々もいるかもしれません。

3.3 博士号

国際交渉に際して日本国外では、日本以上に学歴社会で、知能差別社会の側面があります。英語力と同様に、外国と交渉する場合には、博士号持っていると、他の方々から一目置かれることが多いです。そもそも「ミスター」や「ミス」ではなく、「ドクター」と呼ばれ、肩書が変わります。実際に国際連盟の理事で博士号で得をしているという外国人の話もよく聞きます。

3.4 デザイン

ロゴを書いたり、ポスターを作製したりなど、デザインが必要になってくる状況もあります。比較的安価で済みますが、それでもメンバーにデザイナーがいれば、問題なくできます。

3.5 その他

その他、直接関係しないとしても、他分野の多角的な視点はいざというときに役に立ちます。

 

 

どうやってこのような人材を揃えるか?

さてどうやってこのような人材を揃えるか?この点が最大に重要です。

しかしながら一般的な汎用性のある方法はいまだ不明です。上記のことを、無償でやってもらうのは現実厳しいのが現状です。そのため自分たちでできるようにするというのが最も手っ取り早いです。大人数の団体では、分業すれば済む話ですが、人数が少ない団体では上記をすべて満たすように、1人-2,3人で達成する必要が出てきます。

現状、外部からの誘致をできる環境を整えつつ、自らが出来るスキルの幅を増やすのが現実的です。

また「内と外」の概念ですが、現状では外部の人に、自分の事として取り組んで貰えるような環境を整えることも有効です。こうすれば自然と内部の人が増えていくことになります。

運営自体としても、こういったスキルを持つ方々を優遇しつつ、お金では決して買えないような経験を提供する方法が有効でしょう。

例えば、実力があれば、様々な形態の日本代表選手として国際大会に出場してもらう、などがいいのではないでしょうか?

それでもスポーツ単体では厳しいので多様な付加価値を提供する必要があります。

 

上記のようなスキルは、現状のスポーツのエリアでは満たせる人が限られているのが現状です。

しかしながら、業界の構造上、必要となります。

「『ワールドカップ優勝』を目標とする」ことと同様に、高い目標に向かって、アスリート自身も競技者として競技の技術を向上するだけでなく、上記のようなスキルをなるべく多く満たせるようになるような方向性を目指すことが、デュアルキャリアとしても有効であると考えます。

 

弊連盟では上記のようなスキルや方式に対する解決方法の試行錯誤を繰り返しています。汎用性が高く有効なものは弊連盟からも公開していければと考えています。